草刈機のリコイルスターターが引けない!(ピストン上部とシリンダ上部にカーボンが溜まっていた)
共立の背負い式草刈機、RME260Aという機体です。
スタータロープが引けない!という症状でお持ち頂きました。だいぶ古い機械だけに、動く様になるか心配されていました。
診断開始。確かにリコイルが引けません。
が、リコイルスターターを本体から取り外してチェックしてみると、リコイルスターター部は大丈夫でした。プラグを外して、スタータープーリーを手で回してみると、途中迄は動きますが、ピストンが上死点付近に行くと、それ以上回りません。スタータ部の問題ではなく、エンジン内部の問題でした。
この時点で考えられるのは、コンロッド付近の損傷、ピストン上部のカーボンだまりでしょうか。ピストンが焼き付いているのであれば全く動きませんし、「がたつき」 は感じられないので、ピストンヘッドに異物が付着して圧縮が高すぎるのか、酷い場合はピストンとシリンダーの間に隙間が無くなっている可能性が考えられます。
シリンダーを取り外します。

すると、予想通りでした。
ピストンヘッドにかなりのカーボン等の異物が付着しています。

横から見た図。かなりの厚みの汚れがこびり付いているのが分かります。
ピストンはシリンダー内で上下運動をしていますが、この異物のせいで隙間が無くなり、ピストンが一番上に上がった時にシリンダーと干渉していたのです。
ピストン運動の邪魔をしていたのですね。

シリンダの上部にも異物の固着が激しいです。

キャブレターコンディショナーを吹き付け暫く放置してから、丁寧に異物を取り除きました。ピストンの上部は予想より簡単に剥がれました。作業途中の写真。綺麗になった時の写真を撮り忘れましまいました。残念。
それに対してシリンダ内部の上部(プラグが取り付けられている裏側)の異物除去は大変でした。

ピストンもシリンダも、側面に傷が付くのはダメージが大きいです。圧縮漏れを起こしてしまいアイドリングが安定しなかったり、パワー不足等に繋がります。たいして、今回掃除したピストンの上面やシリンダ内部の上部はほんの少しの傷ぐらいなら、大きな不調につながる事は少ないと思います。

清掃後のシリンダー内部。隅にこびり付いたカーボンを落とす際には、側面を傷つけない様に慎重に作業する必要が有ります。
排気ポートも汚れが付着したのでこれも丁寧に除去。清掃後はシリンダー内部やピストン、コンロッド付近に数滴エンジンオイルを垂らして組み上げました。するとリコイルスターターはスムーズに引け、すんなり始動し気持ちよく吹け上がってくれました。
ピストンとシリンダーの側面に焼き付いた後は見られなかったので、大丈夫だとは思っていましたが、こんなに調子よく動いてくれると嬉しいものです。
アイドリング時の回転数も安定しています。
さて、なぜこんなにも汚れがこびり付いてしまっていたのでしょうか?
混合燃料の問題が大きいと思います。他にはエアクリーナー部の清掃を怠りゴミがエンジン内部へ入ってしまった、等も考えられると思います。使用環境も見てみないとなんとも言えません。
お客様に聞いたところ、混合燃料はご自分で1:25で作成しているとの事でした。どういったエンジンオイルを使ってらっしゃるかは分かりませんでした。
良いエンジンオイルを使い1:50の混合比(エンジンオイル1でガソリン50です)で使われた方が良いですよと、アドバイスはしました。
修理工賃としてはそれなりの料金を頂く事になりましたが、正常に動く様になりお客様には大変喜んで頂きました。古い機種ですがまだまだ活躍してくれそうです。
3 11月 2019 1:35 午後
新品でスタ-タ-が硬くて引けない
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