ダイヤフラム式キャブレター

マキタEM227刈払機修理

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チラシを見て修理の持ち込みにご来店頂きました。
マキタの草刈り機の中でもとてもメンテナンスしやすいシンプルな機体だと思います。
症状は、エンジンの回転数が不安定との事です。


始動テスト。リコイルスターターを引っ張ると、マフラーから油が噴き出てきました。

これは、キャブレターがオーバーフローし混合燃料がシリンダー内へ流入しマフラー迄溢れ出たのだと推測。
燃料フィルターの点検後に、キャブレターを分解し点検します。

キャブを取り外し分解すると、直ぐにメタリングダイヤフラムというゴムで出来たパーツ ( 下の写真の右から2番目のパーツ)が劣化(硬化)しているのが分かりました。

下のパーツがメタリングダイヤフラムというパーツです。
このゴムで出来たパーツがしなやかに動かないと燃料の供給がスムーズに行われません。今回の機体に付いていたメタリングダイヤフラムの硬化具合はかなり酷い状態でした。手で押すとパキンパキンなレベル。ゴムというよりプラスチックに近い状態です。写真で見ると新品と比較し中央部が盛り上がっているの分かると思います。これですと燃料の供給を調節するバルブが常時押しっぱなしになるので、オーバーフローする事になります。

ここまで劣化していたので、キャブレター内部に使われているゴムのパーツは全て取り換えさせて頂くことにしました。下写真の上段4ケが新品です。
これらを交換し、内部を清掃して組み上げたら問題無くエンジンが動く様になりました。※キャブレターの詳しい説明はいずれ動画にしたいと思います。

エンジンは調子良くなりましたが、マフラーから油が噴出していた事が気になったので、念の為にマフラーと排気口の点検もしておきます。
カバーが独特ですね。縦に真っ二つに分かれる仕組み。
慣れると分解しやすいです。

確認すると排気口はとても綺麗でした。年式は古いと思いますが、稼働時間は少な目なのかもしれません。マフラーも問題ありませんでした。良かった。

組み上げて、主要ネジの増し締めを行い、再度動作チェック。
エンジン回転数をチェックします。
アイドリング時は2800~3000/毎分、に調整します。
アクセル全開時で9500/毎分、程回りますので十分です。

アクセルワイヤー系の調整と、最後にギアケース部にグリスを注入し整備・点検終了です。

今回お預かりした機械は、とても綺麗にお手入れされており、気持ち良く整備させて頂きました。交換したダイヤフラム類以外は健康体そのもの。こんなふうに扱って頂くと機械も長持ちするでしょうね。

これから草刈り機が多く運ばれて来る季節に入ります。
技術向上に努め、良いサービスをご提供出来るように取り組んでまいります。

ダイヤフラム式キャブレターの勉強

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こんばんは、修行中の息子です。
このところダイヤフラム式キャブレターの分解洗浄を繰り返し行っております。構造はだいぶ分かっては来たのですが、とにかく体に覚えこませたいので、数をこなすしかありません。

キャブレター分解手順

① キャブレターを本体から取り外す
② キャブレターを分解する
③ 各穴にキャブクリナーを吹き付け、清掃しながら目詰まりしていないか確認する
④ コンプレッサーでクリナー液や汚れを吹き飛ばし、各穴も綺麗にする
⑤ キャブレターの再組立て
⑥ 本体へキャブレターを取り付ける。(燃料ホースやアクセル・チョークロッドも)
⑦ 始動テスト
⑧ 低速ノズル/高速ノズル/アイドルを調整(高速ノズルが無い機種も有る)

という流れです。

※ダイヤフラム式キャブレターとは、本体を逆さまにしたりしても使用出来る様に考えられたキャブレターです。耕運機等、水平にして使う機会にはフロート式のキャブレターが使われます。

写真 2017-10-16 10 23 32本日お預かりしたチェンソーです。

慣れていない機種によっては①でも意外とてこずってしまいます。コンパクトな機種等は複雑に入り組んでいますからね。アクセルロッドを外すのさえ苦戦したりします。不器用ですから。燃料ホースは破かない様に引き抜きます。
各部の関係をしっかり記憶するなり写真に撮っておく事も重要です。

②のキャブレター分解は、ネジ山を潰さない事とスプリングやニードルバルブ等の細かい部品を無くさない事に細心の注意が必要です。

③のキャブクリナー液を穴に吹き付ける事で、何処の穴と何処の穴が通っているのかが良く分かる様になってきます。私は実技をやった後にネット(このサイトが一番詳しいと思います)やテキストを見て名称を覚えられる様に頑張っています。穴がたくさんあって難解ですね(´;ω;`)ウッ…

キャブレターの心臓部です。写真下の本体部の一か所が目詰まりしていた為にエンジンが始動しませんでした。

写真 2017-10-16 10 41 15

⑤再組立てはキチンと元通りに組みます。当たり前の話ですが大変重要です(汗)

⑧の各調整ネジの取り扱いは多少経験が必要です。ここは大事なところなので技術を持った方の指導を受けるか見てやり方を覚える方が良いでしょう。(アイドリングの調整ネジは問題無いと思います。)高速ノズルは閉め過ぎる(時計回し)と回転が上がり過ぎてエンジンが焼き付く恐れも有ります。

細かいパーツで構成されている部品だけに、最初は恐る恐るでしたが、慣れてくると分解するのがとても楽しくなってきます。問題点を発見し改善した後にエンジンが掛かった瞬間はとても嬉しいものです。

草刈機大活躍の季節からチェンソーの季節に移ってきました。
チェンソーでお困りの方、ぜひご相談下さいませ!