チェンソー
ハスクバーナ社技術交流会参加
ハスクさんの技術交流会参加のため熊本迄行ってきました。

今年はハスクバーナ・ゼノアさんの技術交流会・展示会・販売店会議には良く参加させて頂いています。5/24にも参加したばかりです。毎回ちゃんとお土産を頂けるから。
本日は、エンジン式チェンソーの550XPの新型の技術的なお話と、電子制御キャブレターのお話がメイン。
また、ハスクバーナー製品を長年使ってらっしゃる実際のユーザー様(プロの林業家さん)による、商品レビューがありました。

チェンソーの競技にも参加される様な レベルの高いプロの林業家だけあって、話がロジカルで私ども技術屋とは違う目線での一味違う商品レビューは説得力がありました。 チェンソーを扱う姿勢ひとつとっても愛を感じます。彼らにとって、信頼性の高いチェンソーは、まさしく相棒なのでしょうね。同じ製品でも所有者によって寿命が変わってくるのは頷けます。
今回参加した販売店は30社は超えていたと思いますが、私の隣に座られた方が、S社さんの技術講習会でもご一緒した人だったと、終盤になって気が付きました。お互いびっくり。
最近の商品の動向や、製品の技術的なお話を伺えて良かったです。佐賀からやや遠い宮崎県のかたですが、店舗の見学を兼ねて一度遊びに伺ってみたいと思います。
ハスクバーナ・ゼノアさんの展示会参加
先日(4月20日)にハスクバーナ・ゼノアさんの展示会に参加してきました。福岡の大野城市にて。

ハスクの70ccクラスチェンソーの新型を。

バーを木へ押し付ける感じでやるとグイグイ切断されます。
このクラスの排気量の切断能力は凄いです。

こちらはバッテリー刈払機をお試し中。
仕事能力、作業時間も申し分なく、近い将来エンジンに置き換わる可能性を十分感じます。
バッテリーチェンソーも現場によってはエンジンよりも良い!という流れが出来てくると感じます。
後は、どういう風にお客様へお伝えしていくかです。
Youtubeへの動画アップや、体験会等を開催してアピールしていきたいと思います。
リコイルスターターのスプリングのはめ方
チェンソーや草刈機(刈払機)等の小型農業機械にはリコイルスターターという物が付いています。始動する時に使うスタートロープが付いた部分ですね。

このリコイル部のトラブルで多いのは、スターターロープ切れです。その他パーツが劣化してロープを引いても空回りする、とか、逆にロープが絡まって引けないとか。
機体により構成パーツが異なりますので、症状はさまざまです。
今回ご紹介するのは、スパイラルスプリングという部品の取り付け方です。本来はスタートロープの交換だけをしたかったのに、分解の過程で誤ってハズれてしまった!という時の対処方法です。
このスプリンがバラっとなった瞬間って本当嫌な気分になるんですよ(笑)

機種によっては、カバーやビスで固定されていて故意ではなければハズれないようにしてあるタイプも有るのですが、上の写真の様にバラバラになってしまうタイプの物も多いです。
これを元の様に再セットするのはなかなか難しいです。このMS171の様な形状であれば、手が入りやすいので比較的簡単ですが、物によっては泣きそうになります。
そいういう時の参考になればと思い、動画を作ってみました。↓
お役に立てれば幸いです。
536Li XP ハスクバーナー社製のバッテリーチェンソー
弊社のデモ機にハスクバーナー社のバッテリーチェンソーが加わりました。

プロ向けの商品です。3/8ピッチの1.3ソーチェン装備。高回転のチェンスピードで30ccクラスのエンジンチェンソーと同等かそれ以上の切断能力を感じさせてくれます。
36vバッテリーで、充電回数も1500回という説明を受けております。また防水仕様!湿気にも強いというプロ仕様です。

この性能なのに、コンパクトで軽量です。
大容量バッテリー、意外と軽いです。

ただお値段は・・・、そこそこします(笑)
本体(55,000-)+バッテリーBli200(24,800-)+充電器(16,200-)
合計¥96,000-(税別)です。
ですが、ランニングコストを考えると、長い目で見ると決してお高くは有りません。まずはガソリン代とエンジンオイル代が電気代に置き変わります。かなりのコストダウンです。そしてチェンソーにつきものの修理代金や交換部品が少なくて済みます。バッテリー製品は、エンジンチェンソーよりかなり部品点数が少なくシンプルな設計になっております。
また、エンジン製品はしばらく放置していると、主に燃料系統のトラブルが原因で使いたい時に動かない!なんて事が良く有ります。バッテリー製品は充電しておけばまず動きます。スタートロープを引く必要も有りません。スターターロープが切れるなんて心配も不要です。
それでいて、ここ迄の仕事をしてくるんです!
弊社にはデモ機をご用意しております。修理スペースで実際に試し切り出来る様に準備しておりますでご体感頂きたいと思います。
詳しい製品の性能や、体感したレポートは別途詳しくアップしたいと思います。
チェンソーの吹けが悪い(キャブレター内部の汚れ)
共立のエンジンチェンソーCS3411Gという機種です。
建設業者様、解体業者様等の現場で活躍している機種です。

高速時の吹けが悪いとの事で修理のご依頼を頂きました。確かにアクセルをオンにした瞬間エンジンがストップしてしまいます。
まずはエアフィルターの点検から。凄い汚れです。コンプレッサーで清掃した箇所と未清掃の箇所の違いが一目瞭然です。こういうフィルターの清掃にはコンプレッサーが無いと難しいですね。

エアーフィルターの詰まりはエンジン出力ダウンにつながりますので、小まめな清掃が望ましいです。
清掃してエンジンを掛けましたが、症状は変わらず。次の点検へ。
次は、燃料フィルターと燃料ホースの点検です。
目視では汚れていますが、詰まってはいませんでした。これもコンプレッサーで中からエアーを吹き掃除します。

燃料ホースも大丈夫そうです。
となると、やはりキャブレターのオーバーホールが必要そうです。
この機種は、キャブレターの取り外しがとても楽でした。
メーカーが異なればもちろんですが、機種が違うと、キャブレターの取り外しさえ大変な場合が多いです。

キャブレターを取り外ずして、分解します。
メタリングダイヤフラム、ポンプダイヤフラム等のパーツは大丈夫でした。
内部の汚れも目視では大丈夫そうです。

キャブレターコンディショナーをキャブレター内部の穴という穴に吹き付けて洗浄を行います。
すると、Hと書いて有る、高速スクリューが刺さっている穴の中が汚れていたのがハッキリわかりました。(※注意:低速スクリューと高速スクリューの取り外しと調整は知識がある方のみ行って下さい!調整を間違えるとエンジンの故障に繋がる事さえ在ります。)

写真では分かり難いですが、キャブコンを吹き付けた瞬間、内部から茶色の汚れがブワッと吹き出てきました。高速ノズルが目詰まりしていた模様です。ですので、アクセルをOnにした瞬間に燃料の供給が追い付かずにエンジン停止していたんですね。
キャブコンで念入りに清掃し、コンプレッサーのエアーを吹き付け汚れを吹き飛ばします。その後組立てると、気持ちよく吹きあがりました!(H、Lスクリューの調整に手こずりましたが)
最近、この症状(Hノズルの詰まり)が散見されます。
キャブレター内部が汚れる原因としては、 燃料が古い、燃料タンク内が汚れている、燃料フィルターが汚れている、エアーフィルターが汚れている、等が考えられると思います。
何故Hノズル部だけに汚れが溜まってしまうのか?私には「正確な」メカニズムを「正しく 」 説明する事はまだ出来ません。高速の方が長時間使われる、高速側の方が燃料の供給量が多い等も考えられると思います。
長い期間使っていればある程度は仕方が無い事なのかも知れません。
この様に、キャブレター内部のちょっとしたトラブルで、全体の調子を悪くしてしまいます。このちょっとしたトラブルを予防する方法としては、日ごろの清掃・メンテナンスが大変重要です。
たまには、取扱説明書を読み返し(取説をダウンロード出来るメーカーさんが多いです)ポイントを復習して点検や清掃をされる事をお勧めします。読んだ事が無い方が多いと思いますが、取扱説明書には為になる事がたくさん記載されていますよ!
もちろん弊社にご来店頂ければ、清掃のポイントは無料でアドバイス致します!弊社でご購入頂いた商品であれば弊社のコンプレッサーを自由に使っていただいてもかまいません(^^♪ 機体を綺麗にしてあげれば、やはり長持ちします。
スチールMS170 燃料ホース交換
スチール社のエンジンチェンソーMS170Cの修理依頼です。
24,800円(税別)という格安価格ながらお値段以上の働きをしてくれる機体だと思います。排気量も30ccありますので多少の作業ならパワフルにこなしてくれます。
症状は、一年以上使用していなかったら始動しなくなったとの事です。
チョークをした状態で何度スタートロープを引いてもプラグが濡れませんでしたので燃料系統のトラブルだと判断。一時お預かりする事にしました。

燃料フィルターは問題なかったので、キャブレターのトラブルだと判断しオーバーホールに移ります。
スチール社のキャブレター周りは、チョークの仕組みが独特な事もあってスイッチ類の取り外しが他社さんとはやや異なります。慣れないとキャブの取り外しが面倒に感じるかもしれません。下手にやると部品を痛める恐れがあるので強引に扱うのは止めましょう。

キャブレターを分解しましたが、予想はハズれ特に問題となる部分が見つかりませんでした。キャブレターコンディショナーで洗浄後に再度組み立て、始動を試みますが、起きる気配が有りません。

キャブレターへ燃料が届いている気配がなかったので、燃料ホースを取り外してチェックすると、かなり痛んでおりました。亀裂が幾つも入りエアーを吸っている状態です。燃料を吸い上げないハズですね。

燃料ホースを新品(緑)と交換します。MS170専用の燃料ホースです。厚手の燃料ホースなので、亀裂が入っても外からの目視では発見し難いです。燃料も漏れないし。取り外して引っ張ってようやく分かりました。

燃料ホースの交換作業はホースを傷めないように慎重にやる必要が有ります。
交換したら一発で始動する様になりました。燃料ホースは消耗品です。
トラブルシューティングのスキルの向上に努めます。
STIHL チェンソー 088
お電話にて、今からスチールの088という機種を持って行きたいけど見て頂けますか?とのご依頼。
期待が古く大型機種ですので、「その場で出来る事は限りが有りますが診ます!」とお返事すると30分位で来店して頂けました。
下の写真がSTIHL社製のエンジンチェンー088
山で伐倒した後にその場で製材をやっていたが、アクセルを吹かすと停止する様になったとの事でした。

エンジンは121㎤で、機体は10kg近くの重量が有る大型機種です。
以前084という機体を修理した事は有るのですが、この機体は初めて。
お急ぎでしたので、簡易点検から。
エアーフィルターをチェックし、その後に燃料フィルターをチェックすると、酷い詰まり具合でした。燃料フィルターを吸っても全く吸い込めません。
燃料タンク内を清掃し、燃料フィルターを交換して、再始動してアクセルを吹かして頂いたら、さっきまでとは全然違う!との声。
すぐにお持ち帰りたいとの事でしたので、今回はここ迄のチェックで終わりました。
現場でバリバリ活躍してくれていればよいのですが。というかこの機体がどういう風に使われているのか、現場を見学してみたい気持ちで一杯です(笑)
緊急対応も出来る限りお応え致しますのでご相談下さい。※パーツ交換が必要な場合、在庫が無ければ取り寄せが必要になります。
もちろんスチール社だけではなく、ハスクバーナ/KIORITZ/ゼノア/新ダイワ/やまびこ/ECHO/リョービ/日立/マキタ などなど、各メーカーの機体も承っております!
MS170/MS170-CEのエンジンの掛け方
スチール社のエンジンチェンソーの起動方法を説明したいと思います。
今回はMS170の機体を使ってご説明します。機種によってはこの形状と若干事なる場合も有りますが、一番の基本はこの機体だと思います。
何故わざわざこんな記事を書くのかといいますと、他のメーカーさんのエンジンチェンソーは電源スイッチとチョークレバーは別に付いているのが殆どなのですが、スチール社のチェンソーは電源スイッチとチョークが同じコントロールレバーで操作する様に設計されているからです。
初めてスチール社の製品を使うと戸惑う方もいらっしゃいます。
ですが、やりたい事(エンジンが冷えた状態の)は他のエンジン製品と全く同じ。
①チョークを引いた状態にする。
②初爆音が聞こえる迄スタータロープを引く
③チョークを解除する
④エンジンが始動する迄スターターロープを引く
という事ですが、操作がやや違いますので最初からご説明します。
下の写真の黄色枠内のレバーが「マスターコントロールレバー」と呼ばれるもので、電源スイッチもチョークもこのレバーひとつで操作が可能です。
上から1段目が停止(電源OFF)状態、2段目が運転の時の状態、3段目が初爆後に始動させる時に使う状態、4段目がチョークを引いている状態です。

いかがでしょうか。ひとつの操作系でコントロール出来ますので、慣れればとても楽でシンプルに感じます。とても良い機構です。
ですが、初めてこの機体を使われる方は戸惑われると思います。
2段目へはレバーをカチッと下に押せば良いのですが、4段目の冷機始動(チョークを引いた状態)のポジションへレバーを動かすには、下記の様な手順が必要です。
①手の平と人差し指を使ってロックアウトとスロットルトリガーを一緒に手で握る
②握ったままの状態でコントロールレバーを下に押すと4段目へセットできる。
スロットルトリガーとロックアウトを同時に握りながらでは無いと4段目へはおりません。が、無理やり力づくで4段目へ動かしてしまう方も居ます。だいたいコントロールレバーが壊れて修理に運ばれてきます。くれぐれも無理やり操作しないで頂きたいと思います。
4段目の位置へコントロールレバー移動しチョークが効いた状態になりましたので、スターターロープを引きます。
この時にいきなり力任せに引かず、最初はゆっくりと引いて下さい。写真の位置くらいまでスッと引けると思います。このあたりで負荷を感じたら、そこから一気にロープを引きます。

スタートロープを数回引くと、エンジンがブルっと音を立てます。これを初爆と言います。この音を聞き逃さないでください。初爆が聞こえたら、チョークを解除します。
4段目から3段目へ1つレバーを上げます。これはスロットル等は握らずに上がります。
これでチョークを解除しましたので、スタータロープを引きエンジンを掛けます。
この3段目が何なのか良く分からないと言われるお客様が結構いらっしゃいます。
先ほどチョークを解除出来たと書きましたが、実はこの3段目は半分程チョークが効いている状態なのです。つまりエンジンの始動をスムーズに行う様にする為の3段目です。が、3段目の状態でエンジンを掛けると、エンジンが勢いよく吹け上がることになります。刃も回転します。起動時にはチェンブレーキを掛ける様にとマニュアルに明記されております。
さて3段目の位置でエンジンが掛かりました、エンジンは高回転状態です。最初はちょっとびっくりするかも知れません。が慌てずにスロットルトリガーをひと握りしましょう。
そうすると自動的にコントロールレバーが3段目から通常モードの2段目へと移動してくれます。スロットルトリガーを離せばアイドリング状態になり刃が止ります。
この2段目が作業時に使用する位置です。

電源をOFFにする時は1段目へレバーを動かしてください。
以上がエンジンが完全に冷えている状態からの起動方法です。
エンジンが温まった状態でエンジンを再始動する時は、コントロールレバーは2段目にセットした状態でスターターロープを引いて下さい。ここ大事です。
温まった状態なのに4段目に合わせてスターターロープを引くと、燃料を吸い込み過ぎてスパークプラグが濡れてしまい起動しなくなります。かぶるという状態です。(暫く放置して乾くのを待てばまた掛かります)
連続して作業を行う時は、2段目しか使いません。

スタートスイッチの説明だけでとても長くなってしまいました。
対面で販売する際には繰り返し説明するのですが、買って暫く使う機械が無くいざ使おうとした時に、この操作系が分からず、起動しない!とおっしゃるお客様がちらほらいらっしゃるのも事実です。マニュアルにも明記してありますが、私なりに分かりやすくお伝えしようと記事を書いてみましたが、ゴチャゴチャし過ぎました💦
見て頂くの一番なので別途動画も作ってみようと思います。
纏めます。
エンジンが冷えた状態での起動 ①ロックアウトとスロットルトリガーを同時に握る ②握ったままコントロールレバーを4段目へセットする ③初爆が聞こえる迄スターターロープを引く ④初爆が聞こえたらコントロールレバーを4段目から3段目へ上げる ⑤始動する迄スターターロープを引く ⑥スロットルトリガーを握る→自動的に通常位置へ移動する 連続作業中の起動 ①コントロールレバーを2段目へセットする ②スターターロープを引く ③スロットルトリガーを握り作業をする
他製品も当然ですが、チョークを使いすぎると直ぐにかぶったという状態になりエンジンが掛からなくなりますので、ご注意ください。
マスターコントロールレバーについて追記 ●4段目へセットする時は、最初にロックアウトとスロットルトリガーを握る事 ●上から下へ下す過程では3段目のポジションには入らない(4から3へ上げる時のみ) ●4段目の状態ではスロットルトリガーは握れない(無理に握りこまない事) ●3段目の状態でスロットルトリガーを握ると自動的に2段目へ移行する ●力づくで操作するべからず
以上です。なんだか難しい記事になりましたが、慣れればとても簡単で便利だと感じて頂けるハズですので、最初だけ慎重にマニュアルや当記事を読んでマスターして下さいませ!
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YOUTUBEにも動画をアップしました!
チェンオイルの供給不具合
KIORITZのチェンソーの刃の目立て(研磨)とチェンの張り調整のご依頼を頂きました。刃はだいぶん摩耗しておりチェンもユルユルでした。目立てを終え、試し切りをさせて頂こうとエンジンを始動、チェンからオイルが出るか確認してみると、あれっ出ない。
正常な状態なら、エンジンを回転させれば下の写真の様にチェンオイルが吐出された事が分かります。やや見えにくいですが、バーの下の紙が濡れている事が分かるかと思います。切る木材の上で良いので、作業をする一番最初にはチェンオイルのタンクの量と共に、刃の先からオイルが出ているか確認をお願いします。

刃へオイルが供給されない状態で作業を行いますと、チェンとバーの潤滑が出来ていない状態ですので、摩擦が大きくなり刃とバーが焼き付きを起こしてしまいます。この機体に付いていた刃もかなり傷んでおりました。かなり無理をして作業をされていた事と思います。
さて、修理です。何処がネックになっているのか調べます。先ずはチェンオイルのタンク内の汚れやフィルターの目詰まりを見ます。大丈夫そうです。となると、チェンオイルのポンプ回りを見る必要が有ります。クラッチとスプロケットの裏側にポンプはついおりますので、バーとチェンを外し、クラッチとスプロケット(下の写真のバネが3個付いた円状の物が遠心クラッチ)も取り外します。(クラッチは基本逆ネジです。また専用工具が無いと取り外し困難です。)

クラッチとスプロケットを取り外した後が下の写真です。タンクからのホース・オイルポンプ・オイルを吐出するホースが完全に見えるようになりました。青丸⇒赤丸⇒黄丸という順にオイルは流れて行きますので、これの何処かで不具合を起こしている事になります。

青丸と黄丸のホースが破れていたり、ゴミ(木屑など)が詰まっていてオイルの供給を阻んでいる事も有りますが今回は大丈夫でした。
オイルポンプには下の写真のウォームギアという部品が取り付けられています。エンジンを回転させると、スプロケットと一緒にこのウォームギアも回ります。ウォームギアは写真の通り綺麗で問題有りません。となると残すはオイルポンプ本体です。

ウォームギアがオイルポンプのギア(下の写真)を回転させる事でオイルが供給されます。オイルポンプのギアを手で回すとオイルは出てきました。ポンプ本体は大丈夫そうです。

じゃぁ何処がネックなのだ?と首を傾げなが再度チェックすると、オイルポンプのギアの一部が摩耗しておりました。下の写真の部分です。全体では無く、一部だけがすり減っていたので直ぐに気が付きませんでした。

この機種のウォームギアは金属で出来ていて、オイルポンプ側はゴム製でした。機種によってはウォームギアもゴムやプラスチック素材で出来ていて、ウォームギア側が劣化する事も良く有ります。
オイルポンプ側のギアがすり減っていたせいでポンプが動作しなかった様です。原因が特定できましたので、お客様に報告し、オイルポンプを注文させて頂きました。(ポンプの部品代が3、600円。別途送料、+工賃を頂きます。)
新品のオイルポンプをセットし、ウォームギア・スプロケット・クラッチを取り付けてエンジンを起こしますと、正常にオイルが出てきました。

ピントが合わずぼけていますが、オイルがだらだら出てきていますね。
ここから出たチェンオイルがチェンへと伝わり、バーとの摩擦を減らしてくれるお蔭で、カッティング作業が円滑に行われます。
オイル切れや不具合によりチェンオイルが供給されないまま作業をしますと、チェンの損傷、バーの損傷、スプロケットの摩耗へと繋がります。また負荷が増大する事によりエンジンへの負担増(引いてはエンジンの焼き付き)という事態も起こす可能性も有ります。切断前にはエンジンを回転させ、チェンからオイルが出ているか確認する癖を付けましょう。
105cm
普段、なかなかお目に掛る事が無い大型チェンソーです。
バー長は105cm!!
お客様は外材の加工を主な目的として使用されているそうです。

94年製のスチールの084AVEQという型式で、排気量は122.0ccと小型バイク並。
30cmのバーがついたMS170Cと比較するとこんな感じ。

修理するのも、試し切りするのも一苦労でした(汗)