WYAキャブ

ホバーモア SHIBAURA FM930修理

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珍しい機体が2体修理に運ばれてきました。
ホバーモアという芝刈用の機械です。

機体の底にはバーナイフが付いています。
風を起こして機体を若干浮き上がらせる事で、地面を這うように草を刈っていきます。

アタッチメントは特殊ですが、動力は一般的な草刈機等に用いられる2ストロークエンジンですね。

ご依頼内容は、どちらの機体もエンジンの回転数が上がらないとの事です。
テストしてみると、片方は始動はするがアクセルオンで直ぐ停止。もう一方は全くエンジンが掛かりません。

プラグ→燃料フィルター→燃料ホースをチェックして、マフラーと排気口の点検をしてみました。すると排気口は予想通りカーボン汚れで若干塞がっていました。中回転域を多用する様な機種はこの様なカーボンの付着が多く見られます。

高速域が伸びない原因になります。
対処方法としては良いエンジンオイルを用い50:1の混合燃料を作って使用する事ですね。ですが、長年使っていれば草刈機系は仕方ないと思います。

清掃後に試しにエンジンを始動してみますが、案の定これだけではエンジンの調子は回復せず。本命のキャブレターのオーバーホールを行いました。

この機体についていたキャブはWalblo社のWYAというタイプです。

共立さんではあまり使っていないタイプのキャブですね。
排ガス対策をされたキャブです。

分解してみますが、一見すると何もトラブルは見当たりません。
各部綺麗ですし、メタリングダイヤフラム等のパッキン類も問題有りません。

黄色と赤で囲んだ、LニードルとHニードル(写真には低速ノズル、高速ノズルと記)も取り外し、各穴をキャブレターコンディショナーで清掃しました。

このWYAのキャブはこの穴にちょっとした詰まりが発生しやすいらしいです。

綺麗に洗浄し再度組み上げます。

肝心のニードルの調整ですが、このSHIBAURAさんの機体の設定情報が分からなかったので、ZENOAHさんの刈払機の同型キャブの設定情報を参考にしました。

Lニードルが13~15回程締め込み、Hニードルは全閉めからの2回半程戻し、がベースの様です。(各機種により若干異なります。ゼノアさんハスクバーナさんであればポケット版の総合カタログの巻末に各機種の仕様が記載されています。)

下の写真がキャブ上部から取り付けるLニードル。14回転締め込みました。

下はHニードル。キャブの側面に有ります。時計回りに締め込んでいき、止まった所から、反時計回りに2回転半戻します。
※このニードルの調整は不慣れな方は辞めておいた方が良いです。最初は熟練者さんの元で教えて貰った方がベストです。

キャブその他を元通りに組み上げてエンジンを始動させてみると、快調に吹き上がりました。エンジンの回転数を見ながら、両ニードルの開度を微調整し完了。おそらくHニードル側の内部に何かしらトラブルが有ったのだと思います。

面白い機械ですね。芝を綺麗に仕上げるのに適していると思います。
また最大傾斜が45度迄と書いてありましたので、ちょっとした斜面にも適している様です。

調べてみますと、ゴルフ場のグリーン周り等に使わている事が多いみたいですね。多少の雑草で有れば刈れますが、それは普通の草刈機でグイグイやった方が良い気がします。

このSHIBAURAさんのホバーモアという商品が現行で販売されているかどうかは分かりませんが、ハスクバーナゼノア社さんからはこちらの商品が販売されています。こちらから。GX560

というかこのSHIBAURAさんのエンジン本体部はハスクバーナブランドでした。
シンプルでとてもメンテナンス性が良い機体でした。軽いし。

今回お預かりした2体とも排気口の若干の詰まりとキャブレターのOHで無事快調に動く様になりました。

今週は他のZENOAH社製の刈払機に付いていたWYAのキャブも同じようなトラブルが有りましたので、このWYAキャブはトラブルが多いという印象が更に強くなってしまいました。(私の勝手な感想です。Walbloさんゴメンナサイ)

予防方法はあるのでしょうか。
これもやはり良いエンジンオイルを使うのが一番の予防方法な様な気がします。

以上です。