草刈機修理
草刈機の不調(マフラー内部の詰まり)マフラー焼き清掃を行う
当店ではお馴染みの機種、 共立の背負い草刈機RME262の修理依頼です。
スローの調子が悪い、と、おっしゃっていました。

診断開始しますが、始動した瞬間に違和感有り。
リコイルを引いた時の手応えが軽く、エンジン音が低いです。
マフラー詰まりを起こしていました。

ドライバーを突っ込んでみるとグサリ。
この穴が通れば調子よくなる事も多いです。
特にこれからの季節、土蜂がマフラーに巣を作ったりすることも有ります。
この穴が全部塞がれてしまうと、エンジンが掛かりません。
※機体によりマフラーの形状は様々です。この様な形状をしていない機体もありますのでご注意下さい。
今回のこのマフラーは、内部にカーボン付着が酷い気配がしましたので、焼き清掃を行いました。
下の写真の様に、マフラーを本体から取り外してガスバーナーで真っ赤になるくらい焼きます。
※喚起が十分に行える場所で、やけど等にも十分気を付ける必要が有ります。
またコンクリートブロックの上等でやる事が望ましいと思います。

暫く炙っているいると、内部にカーボンが溜まっている場合は、写真の様に内部に溜まった物質が燃え出します。
しっかり炙って(10分以上は炙っていると思います)内部から炎が出なくなったら、マフラーを軽くコンコンとコンクリートブロックに叩きつけてみます。
すると下の写真の様に、しっかり燃やす事でボロボロになったカーボンが沢山出てきました。予想した以上に大量のカーボンが溜まっていました。

マフラー内の燃えカスはしっかりと取り除く必要が有ります。燃え残った欠片がまた穴を塞いでしまう、なんてことも有りますので。
マフラー内部がこのレベルで詰まっていると、排気が正常に行えず、エンジンのパワーロスに繋がります。酷くなるとエンジンが始動しません。
以前書いた、草刈機の回転数が上がらない(排気口詰まり)、という記事は今でもよく読んで頂いておりますが、今回の機体のように排気口は大丈夫でもマフラーが詰まっている場合も有ります。
繰り返しますが、一部危険な作業が含まれますので、不慣れな方は真似されません様にお願い致します。
また、マフラーを焼くだけの単純な作業にも見えますが、コツ等もございます。自己責任でお願い致します。
草刈機が微妙に調子悪い(シリンダー・ピストンに傷)
6月に入ってから草刈機が微妙に調子悪いという理由でご来店される事が増えてきました。微妙にも色々有りますが
・低速時にたまにエンジンが停止する
・再始動する時に何度もリコイルを引かなくてはならない
という現象の機体をご紹介します。
共立のRME262という背負式の機体です。
大変人気の機種で、建設・土木業者様によくご購入頂いております。

「微妙に調子悪い 」 という症状が一番厄介だと感じます。
そもそもお客様がおっしゃる症状を確認する事から時間が掛かったりします。
原因の切り分けをしていくのも骨が折れる事が多いです。
「全くエンジンが掛からない 」 という症状で有れば原因を特定するのは対して時間はかかりません。さくさく進みます。
今回お預かりした機体は、草刈り作業自体は普通に行えます。が、暫く使った後にアクセルオフにすると、ストンと落ちる事がたまにあります。たまにです。
再始動するのも大体は直ぐかかりますが、たまにもたつきます。たまにです。
エアーフィルター、燃料フィルター、燃料ホースとチェックして行きキャブレターも分解して確認しますが、どれも目視での異常は有りません。キャブを分解洗浄しセッティングしても症状は変わらず。(症状確認にまた時間を要します)
マフラーを取り外し、排気口を確認してみると、ピストンにやや違和感を感じたので、シリンダーを外してみました・・・
いかがでしょうか、かなり酷い縦キズが入っていました。
これは吸気側(キャブレターが取り付けられている方)です。

別のアングルから。傷の深さが分かると思います。
吸気側から異物が入り込んだ事が原因でしょう。

シリンダーにも当然傷が入っています。

下の写真は排気(マフラー)側です。違和感を感じたこちら側はさほどでもありませんでした💦

このピストンとシリンダーの傷のせいで、低速時の不調が起きていたのですね。
シリンダーを開けてみれば一目瞭然ですが、なかなか外からは分かりません。プラグ穴から圧縮圧力を測定する方法も有るのですが、さほど低い値は出ませんでした。
これだけピストンとシリンダーに傷が入っていて、良く動きますよね。
パワーを上げている時はピストン運動を行えますが、パワーを落とすとシリンダーとピストンの間の摩擦でエンジンが落ちてしまう様です(たまに)。圧漏れも有ったと思います。
摩擦も大きいのでエンジン内の温度も高めだったでしょう。このまま使っていれば、エンジンの焼き付きに繋がったと思います。
修理するには、シリンダー(約10,000)とピストンKIT(約5,000)の交換が必要になります。工賃を含めると20,000円は確実に超えます。
新品は6万ちょっとしますので、お客様の判断に委ね、返答をお待ちしております。
今回の様に症状は微妙でも、内部が甚大なダメージを受けている場合が有ります。機械の清掃、特にエアクリーナー周辺は正しい方法で毎回清掃して頂きたいと思います。
草刈機が微妙に調子悪い、別の症例を後日紹介したいと思います。
草刈機のイグニッションコイル交換
エンジンが全く掛からなくなったとの事で運ばれてきました。
KYORITZのRME260です。

古い機種ですがこのタイプの背負い草刈機はまだまだ現役で活躍しています。やや重ったるい感触は有りますが、メンテナンス性や使い勝手が良い機種だと思います。始動性も良いです。個人的にはリコイルスターターの故障が多いかな?という印象が有る程度。
診断を進めると、プラグから火花が飛んでいませんでした。
イグニッションコイル(3)回りの汚れ付着が酷かったので清掃して再度試しますが、やはりだめです。

プラグキャップ(4)とプラグターミナル(5)を取り外して プラグコード自体から火花が出ているか確認するとかろうじて火花が飛んでいます。が、ターミナルを取り付けるとターミナル迄届きません。ターミナルを交換しても駄目です。プラグコードが原因かもしれませんが、このタイプは交換が厳しいので、イグニッションコイル本体を交換させて頂くことにしました。だいたい5,6千円前後です。
それと、エンジンと燃料タンクをマウントするエンジンプレートも破損していたので、これも交換させて頂く事に。

エンジンプレートの交換にはかなりの部分を取り外さないといけません。

汚い(笑)見ちゃいけないものを見た感じがします。

せっかくですので、 念入りに清掃を。年季が入っているだけに相当ひどい汚れが付着していました。

ドロ汚れがこれだけ付着していました。
組み上げて、イグニッションコイルの交換です。

マグネトローターの上にボルト2本で取り付けられています。

新品のイグニッションコイルに、ターミナルとプラグキャップを取り付けて本体に取り付けます。イグニッションコイルの取り付けは隙間ゲージ(シックネスゲージ)でマグネトローターとの隙間を調整(0.1mm)して取り付ける必要が有ります。
清掃しながら組み上げて各部のボルトを増し締めしました。
気持ちよく始動して気持ちよく吹け上がってくれました。
フレキシブルシャフトとギアケース部にグリスを注入して修理完了です。
部品代だけでも9千円程かかってしまいましたが、このクラスの新しい背負い式草刈機を買おうとすると6万前後します。機体の劣化が激しく修理代も嵩む時は新品をお勧めする場合も有りますが、この機体はまだまだ活躍してくれそうです。