草刈機

草刈機のイグニッションコイル交換

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エンジンが全く掛からなくなったとの事で運ばれてきました。
KYORITZのRME260です。

古い機種ですがこのタイプの背負い草刈機はまだまだ現役で活躍しています。やや重ったるい感触は有りますが、メンテナンス性や使い勝手が良い機種だと思います。始動性も良いです。個人的にはリコイルスターターの故障が多いかな?という印象が有る程度。

診断を進めると、プラグから火花が飛んでいませんでした。
イグニッションコイル(3)回りの汚れ付着が酷かったので清掃して再度試しますが、やはりだめです。

イグニッションコイル図

プラグキャップ(4)とプラグターミナル(5)を取り外して プラグコード自体から火花が出ているか確認するとかろうじて火花が飛んでいます。が、ターミナルを取り付けるとターミナル迄届きません。ターミナルを交換しても駄目です。プラグコードが原因かもしれませんが、このタイプは交換が厳しいので、イグニッションコイル本体を交換させて頂くことにしました。だいたい5,6千円前後です。

それと、エンジンと燃料タンクをマウントするエンジンプレートも破損していたので、これも交換させて頂く事に。

エンジンプレートの交換にはかなりの部分を取り外さないといけません。

汚い(笑)見ちゃいけないものを見た感じがします。

せっかくですので、 念入りに清掃を。年季が入っているだけに相当ひどい汚れが付着していました。

ドロ汚れがこれだけ付着していました。

組み上げて、イグニッションコイルの交換です。

マグネトローターの上にボルト2本で取り付けられています。

新品のイグニッションコイルに、ターミナルとプラグキャップを取り付けて本体に取り付けます。イグニッションコイルの取り付けは隙間ゲージ(シックネスゲージ)でマグネトローターとの隙間を調整(0.1mm)して取り付ける必要が有ります。

清掃しながら組み上げて各部のボルトを増し締めしました。
気持ちよく始動して気持ちよく吹け上がってくれました。

フレキシブルシャフトとギアケース部にグリスを注入して修理完了です。

部品代だけでも9千円程かかってしまいましたが、このクラスの新しい背負い式草刈機を買おうとすると6万前後します。機体の劣化が激しく修理代も嵩む時は新品をお勧めする場合も有りますが、この機体はまだまだ活躍してくれそうです。

草刈機のパワー不足(エンジン内部の傷)

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背負い式の草刈機も修理のご依頼を多数頂きます。

お客様は「回転数が安定しない/アクセルオフにするとエンジンが停止する」と言う事をおっしゃっていました。

始動させてみます。リコイルスターターを引っ張った感じで手応えが弱いと感じましたが、エンジンは掛かりました。が、高回転域も弱いですし、低回転にするとストンとエンジンが停止してしまいます。

プラグ→エアーフィルター→燃料フィルター→燃料ホースをチェックしましたが異常が無かったのでマフラーを取り外して見ました。マフラー自体や排気口は問題が有る程カーボン付着はありませんでした。排気口からピストンを見ると、排気側(マフラーが付いている方)に目立った傷は確認できませんでしたが、ピストンを下死点に動かすと、吸気側(キャブレターが付いている方)のシリンダー内部に傷が見えました。

シリンダーを取り外し内部のチェックをする事にしました。

ビス4本を外し(六角レンチを一本折ってしまう程一本固結していました涙)シリンダー取り外します。

エンジン焼き付き-1

シリンダを取り外すと下の様にピストンが剥き出しになります。下の写真はピストンの排気側を映しています。黒く変色はしていますが、目立った傷は入って居ません。エンジン焼き付き-2.jpg

逆の吸気側を見ると、写真の様に縦の傷が無数に入っています。手で触るとボコボコした感じも分かります。

エンジン焼き付き-3

シリンダー内部も吸気側と排気側では違いがはっきり分かります。
写真左の吸気側は傷だらけです。

エンジン焼き付き-4

おそらくエンジンの焼き付きというよりはエアーフィルターが付いていない状態で暫く使った為に、キャブレター側から異物が混入してしまった結果では無いかな、と思います。

運ばれて来る古い機械にはエアーフィルターが付いていなかったり、フィルターがボロボロに崩れていたりする事も珍しくありません。エアーフィルターはとても大切ですので定期的に確認・清掃をお願いします。

ここ迄傷が酷いと、ピストンとシリンダーの交換が必要になります。
この機種のピストンKITが約5,000-、シリンダーが約10,000-と部品代だけで15,000-も掛かってしまいます。工賃を含めたお見積りを打診し、「そろそろ買い替え時期だと思います」との私見をお伝えした所、KIORITZのRME2630をご購入頂きました。快くご購入頂きありがとうございました。

エンジンの焼き付きでも同じような傷が入ってしまいます。
エンジンの空冷が機能するようにエンジン回りを清掃する、メーカー推奨の2サイクル用エンジンオイルを使用する、空ぶかしを長時間しない、長時間の連続使用後は暫くアイドリング状態にし温度を下げてからエンジンを停止する、等に気を付けていただければ焼き付きが発生する可能性はグンと下がると思います。

ご購入後に取扱説明書を熟読される方は少ないと思うのですが、大事な事がたくさん書いて有ることに気が付きます。安全と機械寿命を延ばす為の知識を持って使用しましょう。

※本来は機械を購入頂く際に販売店がしっかり説明する必要があるのですが、なかなか聞いて頂けなかったり、一度の説明では理解いただけ無い事が殆どです。。

チップソーの研磨

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猛暑日が始まりましたが草刈りシーズンですね。暑い中ご苦労様です。

草刈り機本体も運ばれてきますが、刃の研磨のご依頼も頂きます。
八枚刃の研磨は依然取り上げましたので、今回はチップソーの研磨を。

ご依頼頂いたチップソーですが正直綺麗です。念のため使わせて頂きましたが、生い茂った場所でなければ十分作業可能なレベルです。本来、切れ味が悪くなる前に研磨を行うのがベスト。このお客様は機械の扱いも丁寧なのだろうなぁと想像しながら研磨を実施させて頂きました。チップソー研磨_1

専用の器具で研ぎます。八枚刃の研磨機とは違う器具です。

チップソー研磨_2

研いだ刃の比較写真です。やや分かりづらいですが、黄色枠の刃と比べて赤枠の中の刃の方ががしっかり尖っている(目立て出来ている)事がお分かり頂けると思います。チップソー研磨_3

最初は綺麗に見えた刃も、目立て後の刃と比較するとかなり丸くなっていた事が分かります。
柔らかい草等もスパスパ切れる様になりました。

古くなった刃はチップが欠損している場合がありますが、その部分は研磨は不可能です。欠損が多くなった刃は新品と交換しましょう。

いくら機械の性能が良くとも、刃が悪ければ何にもなりません。
切れない刃で作業をすると機械本体だけでなく作業者様の体にも悪影響を与えますので、切れ味鋭い刃で安全作業を!

当店ではチップソー研磨も承っております。

草刈機用安定板(ジズライザー)

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今回は草刈機の刃を固定するジズライザーのご紹介です。
下の写真の丸く赤い部分ですね。他の色だったり、金属の金具の場合も有ります。

刃を草刈機へ固定する重要なパーツです。刃を地面スレスレに這わせて作業する時に無くてはならない器具です。

ジズ2

この器具が、かなり摩耗している事が多いです。

比較写真を撮ってみました。
ジズ3

真ん中の「交換時期」という物には、3か所穴が開いています。この穴が見えると交換時期です。それを知らずに使い続けると一番右の様になります。かなり酷いです。

この状態で使うと、ギアケース、受け金具、締め付けボルト等に悪影響を与えてしまいます。
ひいては本体にも影響を与えかねません。

一番酷い状態の物を取り付けると、下の様になります。
普通、締め付けボルトの頭は、安定板のカップの中に納まっているのですが、はみ出しています。この状態で草刈り作業を行い続けると、締め付けボルトまで摩耗してしまいます。写真のボルトも頭が丸まっていますね。これ以上摩耗してしまうとスパナ等での取り外しが困難になってしまいます。
ジズ1

このジズライザーは消耗品です。当店では一個1,000円(税込)で販売しておりますし、お近くのホームセンターやネットでも購入できます。

刃の交換が出来る方で有れば、ご自分で交換可能です。説明書を良く読み、交換時期を守って安全かつ快適な草刈り作業を行いましょう!