MS 241 C-M 初期不良
スチールさんのエンジンチェンソー MS 241 C-M を2022年7月に購入頂いたお客様から「スロットルを握ったら回転が上がらずにエンジンが停止する」との事。「買ったのは去年だけど、下したのは昨日(2023年1月中旬)が初めてなんだよぉ。優しくアクセルを握ると回ったりすることがあるんだけど、コンピューター制御って易しく扱わないと駄目なのかなぁ?」と悲しげにおっしゃいます。。いやいやそんな事無いですよ!と私もエンジンを掛けてみると、おっしゃる通りでアクセルを握るとエンジンが止まります💦
お預かりして点検する事に。
先ずは混合燃料を疑ってみます。弊社で作成しているHPウルトラ使用の混合燃料へと入れ替えてみました。すると吹けふけあがりました!あれ、これ燃料が劣化していたとのかなぁ?と思いましたが、暫く経ってからエンジンを掛けてみると また同じ症状です。。。困った。良い時もあれば悪い時もある。一番判断が難しかったりします。人間ならそういう時もあるのでしょうが。
ほぼ新品だしキャブしか考えられないだろう!と判断し直ぐにキャブレターを取り寄せました。
キャブが到着したので交換作業を行いますが、キャブレターを取り外したら直ぐに別の個所に異常を発見。なんとインテークマニフォールドが変です。マニフォールドとはエンジンとキャブレターを繋ぐ重要な役割をする部品です。
※交換後の様子。右が正常左の指で持っている部品が不良です。

エンジンの圧をキャブレターへと伝えるインパルス部がグニャと変形しています。恐らく工場で組み上げた人のミスでしょう。初期不良でこういうケースは私は初めて見ましたが、稀に有るようです。ここの組み上げは比較的難しいというかコツが必要な個所なのでミスは起こり得ます がちょっとお粗末な感じですね💦
このインテークの形状を見ると、クランクケースの圧がキャブレターに伝わっていなかったのだと思います。圧が伝わらないと キャブレターのポンプ機能が正常に働かないため 燃料の供給が追い付きません。この為スロットルを握るとエンジン停止したのだと思います。(たまに伝わる時もあったのでしょうね。もしくはキャブとインテーク部に隙間が出来ていたとか)
お粗末と言えば私もお粗末でした。まずはキャブレターを取り外して目視点検さえしていれば、キャブレターの返品手続きやら部品の再手配やらいらぬ日数を掛けずに済んだのに。新品だからという先入観が邪魔しました。
インテークの交換で無事快調な MS241C-M へと復活しましたが、お客様には大変ご迷惑をお掛け致しました。
製品の信頼性を高める努力は絶えず続けられていますが 100%にはなりません。どうしても初期不良は起こり得ます。そうなった時にどういう対応を販売店とメーカーがしてくれるのか。製品の信頼性と共に大事な部分ですね。
スチールさんはその体制もしっかり整っているメーカーだと思います。部品の提供や技術スタッフのサポート、営業さんの対応等。
私も販売店として技術力向上に努めたいと思います。